5月に経済学会がオンラインで開催されたのですが、そこでかの有名な小島武仁先生の講演を聞く機会がありました。彼はそこでマッチング理論を紹介しており、如何に現実に経済学を落とし込むか、について話されていました。また、その後、渡辺安虎先生の研究を合わせて聞き、経済学がビジネスに多く使われている事実をそこで知り、興味を持ったので色々と調べてみました。
本記事では、経済学ってビジネスには結局役に立たないんでしょって思っている人に向けて、案外知らない所でたくさん活用されているんだよってことを伝えるものになっています。
具体的には、ゲーム理論の中でもビジネスに活用され始めている主な理論を2つ紹介します。
需要が高まる経済学者
色々と調べてみると、ゲーム理論をビジネスに活用した動きがかなり高まっているらしい。
こちらの記事では、GAFAがゲーム理論や行動経済学を専攻としている経済学者を囲い込もうとしていることが紹介されています。ZOZOやメルカリ、サイバーエージェントらのテック企業も経済学者を雇う流れができているみたいです。(詳しくは『週刊ダイヤモンド』11月14日号)ただ、経済学者と一口に言っても様々な内容があるので、例えば私がやっているよな国際経済学は正直企業が活かせる内容ではないので、経済学者として入社するのは難しそう。
ゲーム理論や、統計学に精通しているのであれば、経済学者として会社に所属できる可能性が高まるので、大学以外の就職先ができて良いですね(統計学は経済学者として、よりデータサイエンティストという別の道としてな感じはします)。今経済学部、もしくは目指しているのであれば、ゲーム理論も考えてみてください。
上のリンク記事でも書いてありましたが、大学が提示する金額の数倍から10倍近くにまでの金額を提示されることもあるみたいなので、夢がありまくりです。日本はAIなどのPh.D.にのみ需要がありましたが、この先経済学のPh.D.に対してもどんどん需要が高まっていくのではないでしょうか(願望)。
マッチング理論とは?
小島武仁先生が発表された内容を参考に紹介していきます。
まず、世の中の多くの問題は「マッチング問題」にあります(就活、入試、結婚、保活、ワクチン配分、etc...)。
適材適所の組み合わせ(マッチング)を考える理論として「マッチング理論」があり、それを実際に社会実装するのを「マーケットデザイン」(制度設計)と呼ばれます。
制度設計者が行うこととして以下の2つの手順があります。
参加者にマッチ相手に関する希望順(第1希望、第2希望...)を聞いて(データを得る)
うまいアルゴリズム(計算手順)で望ましいマッチングを見つける(アルゴリズムの上手な設計が腕の見せ所:効率性、公平性、etc...)。
こちらの記事(途中から有料)では、Googleでマッチング理論を人材配置に活用した話が紹介されています。
オークション理論とは?
オークション理論と聞いて、なんとなく想像つくのではないでしょうか?
手をあげて値段競り合って勝ち取るような、あのオークションです。それを数学的にゴリゴリ計算して、最適なオークションの方法を考えるのがオークション理論です。
オークション理論によって成功した有名な事例としては周波数オークションがあります。インターネットや携帯、テレビなど、電波を使って情報の伝達を行う機器がたくさんあります。そしてそれぞれの電波は周波数というものを伴い、電波の混線を避けるために周波数を帯域や地域で区分しています。通信業者は周波数免許というものを持つ必要があり、その上でサービスを展開します。
この周波数の免許の確保を目的としたオークションは、日本を除くほぼ全てのOECD諸国で政府主催で行われています(日本はテレビ業界が周波数を独占してるとも聞きます)。
特に有名な周波数オークションなのは、アメリカので1994年から行われたもので、2012年4月までになんと780億ドルもの販売利益を上げています。
経済学をメインに生かした日本の会社
上で初回したような経済学を軸にした会社は以下の2つがあります。
東京大学エコノミックコンサルティング株式会社(UTEcon)
Economics Design Inc.
前者は小島武仁先生をはじめとした、東大の先生らが多く所属しています。
後者は阪大の安田洋祐先生をはじめとした会社となっています。
機会があってUTEconで分析屋として働くことになりました(正社員じゃないです)。国際経済学からの浮気になってしまいますが、こんな面白そうな学問を、一流の研究者のもとで勉強できる機会なんてそうそうないので、とても楽しみにしています。UTEconは急に募集をかけるので、気になる方はTwitter等で情報を集めておくと良いのではないでしょうか。
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