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執筆者の写真Rinki Ito

修士課程の過ごし方&論文の書き方講座

更新日:2023年6月5日

 随分前に「経済大学院生の修士2年間のスケジュール」と「研究計画書の書き方。まず研究とは何か?」というものを書きましたが、前者は文字ばっか、後者は計画書でした。先日母校で院生向けに修士の過ごし方を紹介したのと、修論に対するTAを行なった事もあって、修士全般の改訂版として紹介します。

 

修士課程の流れ


 周知の事実ですが修士は2年間です。ですが、実際に就活と修論含めどういったスケジュールで動くべきかの想像がつきにくいと思います。

図で示すとこんな感じです。(ちなみに自分は冬インターン行ってません)


 入学した瞬間に就活は始まるようなものです(学部3年と一緒)。修士に入った瞬間に就活で困惑するかと思いますが、「文系大学院は就活で不利?」をみていただければと思います。そこではどう修士課程であることを活かすかに焦点を当ててます。

 図を見てわかる通り、2年間はあっという間です。なので、何月に何をしていれば良いかを逆算しておくことがかなり大事です。

 

 自分の2年間における研究(授業+修論)と就活の割合を振り分けるとすれば以下みたいな感じかなと思います。(自分は大学院に研究者養成コースで入学してるためそれをベースにしていますが、修士卒業を前提とした高度経済人コースとは少し変わるかもしれません。)

 研究と就活をそれぞれの時期にどう動いたか等の詳しい説明については「経済大学院生の修士2年間のスケジュール」を参考にして頂ければと思います。

 

修論の進め方


 修論は、初めて一人で一通りの研究を行うテストのようなものと考えています。(最近修論のTAを行いましたが、先生もそう言ってました。)

 研究の主要素は以下の4つ:

  • リサーチクエッションは妥当?

  • 仮説は適切か?

  • どれだけの貢献があるのか?

  • 適切な分析がされているか?

それぞれの要点は以下です。

 

 上記の通り、リサーチクエッションが一番重要で一番きついです。先生もこれが決まるかどうかが研究の半分を占めるとも言います。というのも、リサーチクエッションは、自分がしようとしている研究について、今までどのような研究がされてきたか、何が解決していないのかを理解する必要があるからです。気をつけて欲しいのは、いきなりリサーチクエッションではなく、(以下で説明するような)文献をしっかり読んだ上で、まだされていないことをリサーチクエッションにしてください。なんとなくの流行りとかで選んで進めると必ず壁にぶち当たります。研究ではなく趣味論文になります。


(落合先生のページはこちらです)

全部の論文に上記のをする必要はないですが、自分の関心に近い研究にはやったほうが良いです。博士を考えているのであれば、落合先生が紹介しているやり方を実践してみると良いと思います。


 次に、どんな論文を読めば良いかですが、基本ちゃんとしたジャーナルに載ってるものだけにしてください。先生に聞けばどういうジャーナルのものを読めば良いか教えてくれるはずです。修論における引用も基本それらの論文だけです。ワーキングペーパー(以下WP)は正直チラ見程度で(てか読まなくて)良いです。ただ、NBERやSSRNはジャーナルに載せる一歩手前なものが多く、かなり役立ちます(メインにできるわけではない)。

 修論のTAをしていて、結構これができていなかったです。特に、日本語の論文は苦しい研究生活で救いの気持ちになりますが、罠です。日本語の時点でちゃんとしたジャーナルの確率はゼロで、大学が独自で発行している雑誌のパターンが多いです。しっかりした修論を書きたいのであれば、ちゃんとしたジャーナル、WPでもNBERかSSRNだけを徹底してください。よくわからん論文を大量に引用していても、基本大学は優しいので卒業させてくれるとは思いますが、修論として認められない、とされる可能性もあることを念頭に入れて置いてください。

 論文の構成ですが、読んできた論文を参考にするのが一番です。どういう論理で話が進んでいるか?どうセクションを分けてるか?表や図はどう書かれてるか?などです。引用の仕方や参考文献一覧の書き方などは調べれば出てきますが、構成については論文の参考が一番手っ取り早いです。

 

LaTeXの紹介


 最後にLaTeXというものを紹介して終わります。ローカルにインストールして使うのもありますが、自分はOverleafを使ってます。

 数式を多用するなら絶対LaTeXを使った方が良いです。Wordは数式を書くように作られていないので、死ぬほどだるいです。LaTeXは楽に数式を書けますし、フォーマットも自動で整えてくれます(自動故に変な挙動する時もありますが)。みんなLaTeX使って綺麗な論文を書いていきましょう。

 



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