本記事は、大学院で具体的にどのようなレベルの授業となるのかを、コア科目に焦点を当てて紹介していきます。
ミクロ経済学
ミクロ経済学では、院試対策の記事で触れた、Mas-Colellの「Microeconomics Theory」が主流だと思います。かなり難しいです。ただ微分しとけばよかったような、学部で扱っていたミクロと同じとは思えないほどで、ゴリゴリに数学を使います。Varianの教科書を一通り勉強せずにのぞむと絶望します笑。(Mas-ColellではなくVarianを教科書にする大学もあるかも)
どれほどのものか気になる方は、授業でお世話になった原千秋先生のホームページに上級ミクロのLecture Materialsで見ることができるので、一度読んでみると良いです。
初めは何をしているのか全然わからないですが、愚直にやり続けば理解できる日がきます(たぶん)。
内容としてはおそらく大学間で差はない気がします。特に消費者理論と生産者理論を深くやり、ゲーム理論や一般均衡理論を軽く扱うような形でした。(後者については個別に授業があると思います。私はミクロの授業に加えて一般均衡理論の授業を受けました。)
マクロ経済学
マクロ経済学は、大学によって、また先生によっても内容が変化する気がします。一つの教科書に沿うというより、様々な教科書や論文をもとに各テーマの内容を作成されていました。
私が受けた時、前半は Solow や Ramsey-Cass-Koopman モデル、世代重複モデル、内生成長モデル。そして後半ではRBC モデルやDynamic programming、New Keynesian モデルなどを学びました。(DPについてはStokey and Lucas (1989) の3章と4章が理解できれば十分だと思います。安田洋祐先生がDPについてまとめてくれているこちらのサイトを参考にしてみてください。)
個人的にはミクロのように、Varianのような橋渡しの教材(そもそもこれ!と言えるものがない気がする)は必要なく、院試レベルを理解できていれば先生の授業を聞くだけで十分です。上級マクロの教科書は、著者によって書き方が大きく変わるので、変に手を出さない方が良いと思います。
統計学
上級統計で扱う内容のレベルとして、「現代数理統計学」が良いと思います。数式での説明が多くなり、難易度も大きく上がりますが、経済におけるトップジャーナル、特にEconometricaに掲載される論文を理解するにはこのレベルの統計学の知識がないと難しいです。
また、次に紹介する上級計量経済学における教科書の中での証明も、このレベルの統計学の知識が必要になります。
計量経済学
計量経済学は先生によって扱う教材が変わると思います。主要な上級計量経済学として以下の3つがあります。
Hayashi(2000). "Econometrics"
Wooldridge(2010). "Econometric Analysis of Cross Section and Panel Data"
Greene(2011). "Econometric Analysis"
これらの教科書はページ数がかなりあるので、一部ピックアップされたものを授業で扱う内容になります。どれも定評あるので、授業で扱われているものを買ってやり込めば良いと思います。(自分の授業ではWooldridgeでしたが、GMMを詳しくやりたかったのでHayashiも買いました)
特徴を強いて言えば、Hayashiはマクロ、Wooldridgeはミクロ実証なイメージがあります。(Greeneは見たことがないのでわかりません。。すみません)
また、無料でBruce Hansenのオンラインテキストをダウンロードできるので、こちらをメインにして、証明などで分かりにくい部分があれば他のテキストで探す、というのも良いと思います。Stata、R、Matlabのコードもここでは公開されてるので、分析の際は参考にさせていただきました。
※久々に見たら無料公開じゃなくなってました。。
まとめ
以上、コア科目とされる教科を紹介していきました。先取りのためにやっておくと良い、というよりも、大学院でどのようなレベルの授業をしているのかを知ってもらう内容となっています。これから院進する方はぜひ参考にしてみてください。
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