6月あたりに出した学振(DC2)で採用内定(第一次採用内定)をもらうことができました、、!!
博士課程に進学する人であれば必ず耳にするであろう学振について、概要から採用によって発生するもの(税金やら)を、DCにのみ焦点を当ててつらつら書いていきます。申請書にどう書くべきかについてはここでは触れません。
令和3年付で学振の副業などが大きく緩和されたみたいなので、その辺りも少し書きます。
学振とは?
学振とは、簡単にいえば申請して通れば国から毎月お金もらえるやつです。博士課程に進学し、これからアカデミックで頑張っていこうという人の登竜門的なやつです。学振の種類と支援金の額について、大上雅史著の「学振申請書の書き方とコツ」(この本おすすめ)から図を抜粋すると以下のようになります。M2の時にDC1に、D1、D2の時にDC2に応募します。
採用の流れ
採用の流れとしては、以下のようになります。
教授と相談しながら3月あたりからなんとなくで学振の構成を考え始めます。申請書についてはHPの募集要項でダウンロードできるので、何を書く必要があるのかを確認してみてください。2021年から従来の申請書とかなり変わり、過去の研究については一切触れず、未来の研究計画と、どんな研究者になりたいかの2つがメインになりました(就活のエントリーシート感増した)。詳しくはこちらのブログがまとめてくれてました。
申請書の具体的内容は、「①研究計画:(1) 研究の位置づけ (2) 研究目的・内容等」・「②研究遂行力の自己分析 :(1) 研究に関する自身の強み (2) 今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素 」・「③目指す研究者像等 :(1) 目指す研究者像 (2) 上記の「目指す研究者像」に向けて、特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ 」になります。
この内容は2021年以降のもので、それ以前は研究遂行能力が特に見られていたのだと個人的には思います。元々②と③の内容は1ページ内で収められていましたが、2021年からはわざわざ3ページも割かれていることから、潜在的な将来性をどれだけアピールできるかに変化したのだと私は考えています。つまり、当然業績が大事なことには変わりないですが、「研究者になった後の解像度」も重要になっている、ということです。なので、学振に応募を考えている人は「どんな研究者をカッコ良いと思うか」「研究者としてどう世に貢献したいのか」を考えておくと良いかもしれません。私は研究計画の部分はほとんど変わってないのに一次内定をもらえたので、この部分の重要性を体感しました。
申請書を出した後は特に何もすることがなく9月下旬あたりからくる結果の通知を神に祈りながら待ちます。結果については「第一次採用内定」、「第二次採用内定」、「不採用」の3つがあり、「第一次採用内定」であれば採用が99%決定で最高です。「第二次採用内定」の場合は面接が追加され、一人10分(発表4分、質疑応答6分以内)で研究業績や研究内容等を発表(2021年から書く内容が大きく変わったので、面接内容も変わる可能性が高いです)し、それを突破すれば採用です。
不採用の場合のみ、Tスコアという申請者の点数が分かり、不採用者の中でどの位置にいるのかが見れます(東大の受験結果的なやつ?)。大上雅史さんがこのTスコアについて詳しく解説されてるので、気になる方は調べてください。
学振の応募者数と採用率の推移
全体で見ると、大体20%あたりが採用されるので、これを高いと見るか低いと見るかは判断に任せます。採用区分(人文科学とか工学系とか)が全部で9つに分かれていますが、大体20%前後です。自分の区分で見ると、今年は607人応募の中で、第一次採用内定は99人(16.3%)、第二次採用内定は30人(5%)でした。
研究費
学振に採用されると、月20万の給与とは別で特別研究員奨励費という自分の研究に使うためのお金を申請することができます(科研費みたいなもの)。最大金額は実験系で年100万、非実験系で年60万、特別枠で年150万となっています。特別枠には何が該当するのかわかりませんが、自分は非実験系で2年120万で申請し、結果100万となりました。この研究費は本やパソコン、英文校正費、学会への旅費等に使えます。
学振による制約
学振はアカデミックの道を目指すものとしての登竜門に位置し、採用されることで業績に箔がつきますが、その分制約も多いです。
税金
まず、奨学金と違って給与収入扱いになり、今まで無縁だった税金が降りかかってきます。調べるといろいろ出てきますが、とりあえず払わなければいけないものは
所得税
住民税
国民健康保険
国民年金
の4つになります。所得税は勝手に引かれる一方で、住民税と国保、国民年金は別個で支払書が届くので自分で払う必要があります。収入が学振だけの場合、概算として手取り16〜17万円くらいです。ただ住民税・国民年金がかかるのは次年度からなので、1年目はもう少し高いです。国民年金は学生控除効かないのか、ですが、所得が128万以内の学生のみに対してだけなので気をつけてください(知らなくてまとめて請求きて焦った)。
学振だけであれば年末調整だけでいいのですが、基本RAやTAなどもすると思うので、その際は確定申告する必要があります(申請時の話はこちら)。
また、学振には給与の3割分(1ヶ月6万円分の72万円)を研究遂行費という名の経費に充てられる制度があります。ただ注意点として、制度を使う場合は72万円分を経費として使う前提で所得税が計算されるので、使いきれなかった分には税金が課されてしまいます。例えば自分は10万ほどで申請したので、25000円ほど追加で税金が発生しました。
皆さんパソコンやら書籍やらで頑張って使い切るみたいですが、基本欲しいものは研究費で買うので、研究遂行費として申請する分があまりないですね。自分はwifiやこのサイトの運営費、学会費で申請しました。
副業
また、学振に採用されると基本的に副業禁止になります。普通に考えて手取り16万5千円で副業禁止はブラック企業ですね。。まあ研究に従事するための最低限の生活費の補償であって、労働に対する対価ではないので一概にブラックとも言えませんが。
ただ、2021年からはかなり緩くなったみたいです。研究専念義務の大幅緩和、報酬受給ありの副業規定の大幅緩和の2点が取り上げられました(具体的には学振発表の修正前後資料のI-4とIII-15)。じゃあどれだけ副業して良いのかですが、「日本学術振興会特別研究員 遵守事項および諸手続の手引」のよくある質問で「研究専念義務に係り、報酬の受給が認められる要件(III-15)のうち、「2. 常勤職及びそれに準する職ではないこと」が指す職とは具体的にどのようなものか。」というのがあります。その答えとして
「国内外を問わず、雇用保険や社会保険等への加入条件に該当するような勤務形態を想定しています。例えば、雇用期間が1ヶ月以上であり、週あたりの労働時間が20時間を超える場合(80時間/月)は、研究専念義務を全うできないと判断できることから、常勤職に準ずる職となります。判断に迷う場合には、本会まで、電子メールにてお問い合わせください。
また、一つ一つの職が常勤職及びそれに準ずる職ではなくとも、いくつかの職を掛け持ちすることで実質的に特別研究員の研究課題の遂行に支障が出ているのではないかという疑念を持たれないよう、注意してください。」
とあります。また、「報酬の有無に関わらず、営利企業の役員になることや、自ら営利企業を営むこと等はできません。」ともあることから起業したらアウトっぽいですね笑。ただNPO法人なら良いらしい。
なので、起業したかったり既にしている場合には学振は足枷になってしまうかもしれません。インターンをする際は、大学でのRAなどと合わせ20時間を”大幅”に超えると怒られる可能性があるので、気をつけてください(バレないと思いますが一応)。
まとめ
ここではD進者の登竜門である学振について、簡単に紹介していきました。学振とは一体何者なんやっていう疑問に対して、少しでも本記事がクリアにする手助けになれば幸いです。
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