大学院の出願に向けて準備すべきことを説明した「大学院に向けて準備すること」の記事における、特に研究計画書について本記事は焦点を当てています。
大学院への進学を決め、一番悩むのが研究計画書だと思います。こんなもの書いたことがないし、研究なんてゼミのそもそも研究と呼べるのかも怪しい程度のしかしたことがなかったので、真剣に悩みました。
教授に相談することは絶対ですが、行く前にある程度は準備しておきたい方の参考になればと思います。というのも、ガチで下準備なしで行って、仮説?分析手法?となって怒られるのが怖い人向けです。
研究とは?
研究計画書の前に、まず研究について考えましょう。学部だとしっかり研究を行っていない(私もまだ未熟ですが、、)ので、研究の前提から崩れているものも多く見られます。
研究の順序としては、
リサーチクエッション(何が知りたいのか)
仮説を立てる(予想される結果は何か)
それに沿って分析する(どんな分析手法が良いのかはデータから決める)
結果の解釈(仮説に整合的か)
の流れです。このリサーチクエッションの段階で、今までどんな研究がされてきて、何がわかっていないのかを知っておく必要があります。その上でのクエッションですから。ここが新規性につながります。
実際に研究を始めようとした時に陥りがちなミスとして、いきなりテーマ(リサーチクエッション)から選ぼうとする所です。なぜなら上で説明したように、今までどんな研究がされてきたかの背景を押さえていないからです。なんとなくで分野を決める(例えば、貿易でも知識のスピルオーバーやりたいな、など)のはいいですが、どんな影響があるのだろう、というものをいきなり手探りで決めても、関連する先行研究がほとんどない、もしくはされ尽くされていて新規性が作れない、といった問題にぶつかります。
なので、テーマを探す上で重要なことは、論文を読みまくる。これに尽きます。学部生は読んでいる論文数が圧倒的に少なすぎる(知識が浅い)ので、テーマ探しに苦しみます。
どう読んでいくかですが
なんとなくで決めた分野の主要な論文を読みまくる
そこの論文の中で紹介されている関連研究の説明を読んで、自身のに関連しそうならその論文を読む
参考文献の項目で、タイトルから気になりそうなものがあれば検索して入手し、アブストやイントロを読んで面白そうなら全部読む
これを繰り返していくことでなんとなくできめた分野の知識が増えていき、まだなされていない箇所が見えてきます。始まりにある主要な論文などは、教授に相談して教えてもらいましょう。2番目についてですが、論文は必ずその研究の背景を他の論文の紹介をしながら進めていくので、そこから探していきます。
Google Scholarは関係ないものもたくさんヒットしてしまうので、使用する際は気をつけてください。私がよく使うものとして、Connected Paperというものがあります。論文間の関連性を可視化してくれるサービスで、論文のタイトルを入力すれば関連する論文が一目でわかり、関連度や引用数などもわかります。自分の気になる研究に一つすごく良い論文が見つかった時に、これを使えば読むべき論文がすぐに見つかります。
ただ、読む論文は基本有名なジャーナルに投稿されているものを読みましょう。ディスカッションペーパーは、NBERやSSRNのを除き基本避けた方が良いです(ここに投稿されるDPは質が高い)。ジャーナルのランクについては阪大の安田洋祐先生のまとめが参考になります。
計画書に書くこと
では研究計画書に書くことについてですが、分析手法ではなくリサーチクエッションと仮説に重きを置くのが良いと思います。というのも、学部生が押さえている統計学や計量経済学の知識も限界がありますし、基本的に先行研究と同じような分析手法をとれば良いです(分析手法自体が新規性なら別ですが)。気をつけて欲しいのは、特別統計や計量が得意でないのであれば難しい分析手法は避けてください。必ず説明が求められます。また、先行研究で操作変数法が使われている場合も注意してください。操作変数は研究内容によって大きく異なるので、一概に真似できないです。
書く流れですが、
背景
リサーチクエッション
仮説
分析手法(使用データとともに)
だと思います。まず気になる分野においてどんな研究が今までされてきたかの背景を説明し、解明されてない事実、つまりリサーチクエッションが何かを説明する。それに対する自身の予想(仮説)と、それを実証するためにどんなデータ(年度、国、産業)を使って、どういった分析をするのかにつなげて終わり。データについてはしっかり無料で利用できるものなのかを確認しておいてください。実証分析において一番困るのがここです。テーマを見つけてもデータがなければ何もできません。先行研究を読みながら、使われているデータが学生でも使えるのかを確認していくと良いと思います。なので、軸におく先行研究は自分でも模倣できる(データが利用できる)ものを選ぶと良いです。
まとめ
研究計画書について説明してきましたが、受験生の方は安心してください。院試において研究計画に書いたことを実行できることはほぼないです。テーマは普通に変わります。面接官の教授たちもそのことは当然理解してますし、こいつはちゃんと論文を読んで背景を押さえる力があるのか?というのを見ているだけだと私は考えています。なので重く考えず、気楽にいきましょう。
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